仮説はいくらでも立てられるし、私を含めて誰ひとり答えを見つけられるわけでもない。
それでも研究者は、障害や病気をかかえたティーンエイジャーの助けになれる日を夢見ている。
たとえば、新しい知識や新しい装置を使って、脳の正常な発達をとらえることで、統合失調症の原因を特定できるのではないか。
そう信じて研究に励む科学者もいる。
深刻な精神疾患のひとつである統合失調症は、思春期に発症することがとても多いのだ。
それにはまず、正常なティーンエイジャーの脳がどのように成長するのか知らなければならない。
そこでは何が起こり、どの部分が大きくなって、反対にどこが小さくなるべきなのか?ある場所と別の場所が、いつどのように連絡するのか。
ふだんは素直で気の弱い子が、ある日とつぜん鼻に大きな銀の輪っかをはめて帰ってくる理由も、ティーンエイジャーの脳をのぞきこんで、ひだの奥に隠れたところを探ることで、手がかりが見つかるのだろうか?たしかにティーンエイジャーは、少しばかり頭がいかれている。
だけどそれは、生まれたときからちゃんと設計図に書かれていることだ。
あくまで予定どおりのいかれつぶりなのである。
ティーンエイジャーと脳。
どうにも収まりの悪い組みあわせだ。
この2つの言葉を口にして、さらにはティーンエイジャーの脳について本を書いていると発言しようものなら、卒業ダンスパーティの直前にできるニキビのように、腹だたしい突っこみが返ってくるだろう。
「え?ティーンエイジャーに脳なんかあったっけ?」「これまた、ずいぶんと短い本を書くんだねえ」10代の男の子2人の父親であるSは、あきらめ気味に首を振りながらも幸運を祈ってくれた。
彼の知っているティーンエイジャーの脳は、最近理由もないのに凶暴化したという。
「どうしても理解できないんだ。
うちの子たちに、とつぜん奇妙な変化が起こりはじめた。
2人とも賢くていい子だったのに、ひとりは学校の電卓を盗んで売りとばすし、もうひとりは宿題を全然やらなくなった。
最近では朝学校に送りだすのもひと苦労だ。
いったいどうしたんだろう?」ライターをしているDにも、やはり10代のかわいい男の子がいる。
ある朝、話をしたら、彼女はいきなり怒りだした。
「ティーンエイジの脳ですって?ええ、教えてあげるわよ。
うちの13歳の子を知ってるでしょう?このあいだ、学校の体育館でダンスパーティがあったのよ。
体育館から外に出ちゃいけないと言われてたのに、閉じこめられたとでも思ったのかしら。
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